公開日:2026.02.15 更新日:2026.02.15
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体外受精において、採卵できた卵子が最終的に移植可能な胚盤胞まで育つ確率は、年齢によって大きく変動します。
一般的に、受精卵のうち胚盤胞に到達する個数の割合は30~50%程度とされますが、30代と40代ではその数値に差が生じます。
卵子の質は年齢とともに変化するため、同じ採卵数でも得られる胚盤胞の個数は変わってくるのが現実です。
この記事では、採卵数から胚盤胞になるまでの各段階の生存率や、年齢別の胚盤胞まで育つ確率について詳しく解説します。
採卵から胚盤胞まで卵が減っていく「5つの壁」とは
体外受精では、採卵できた卵子のすべてが移植できるわけではありません。
採卵後、成熟卵の選別、受精、細胞分裂、そして胚盤胞への発育という各段階で、卵子は一定の確率で脱落していきます。
多くの卵子や胚が、発育過程の各段階で淘汰されていきます。
どのステップで数が減りやすいのかを理解することは、治療経過を冷静に受け止め、次の対策を考える上で重要になります。
【ステップ別】採卵した卵子が胚盤胞になるまでの生存率の目安
採卵された卵子が胚盤胞に到達するまでには、いくつかのステップをクリアする必要があります。
それぞれのステップで生存率の目安があり、それを知ることで、採卵数から最終的に何個の胚盤胞が得られるかを予測しやすくなります。
ここでは、「成熟卵になる確率」から「胚盤胞まで到達する確率」まで、各段階の一般的な生存率について解説します。
ただし、これらの数値はあくまで平均的な目安であり、個人の年齢や体質、治療法によって変動します。
ステップ1:採卵数から成熟卵になる確率
採卵で得られたすべての卵子が、受精可能な状態である「成熟卵」とは限りません。
採卵した卵子の中には、未成熟なものや変性しているものが含まれているためです。
一般的に、採卵できた卵子のうち、成熟卵である割合は約80%とされています。
例えば、10個の卵子が採卵できた場合、そのうち約8個が成熟卵として次の受精のステップに進める計算になります。
この確率は、卵巣刺激の方法や個人の卵巣機能によっても変動するため、あくまで一つの目安として捉えることが必要です。
ステップ2:成熟卵が正常に受精する確率
成熟卵が得られたら、次は精子と受精させるステップに進みます。
受精の方法には、精子を卵子に振りかける「体外受精(IVF)」と、1つの精子を卵子に直接注入する「顕微授精(ICSI)」があります。
正常に受精する確率は、体外受精で約70%、顕微授精で約80%とされています。
例えば、8個の成熟卵を顕微授精した場合、約6~7個が受精卵になると期待されます。
ただし、精子の状態や卵子の質によって受精率は変動し、受精障害がある場合は、顕微授精が選択されることが多いです。
ステップ3:受精卵が順調に分割する確率
受精が確認された卵子は細胞分裂を開始します。一般的に、受精卵は順調に分割を進めます。受精の翌日には2細胞、2日目には4細胞、3日目には8細胞へと分割が進むのが一般的です。この段階で分割が停止するケースも存在します。分割胚の質の評価(グレード)は、その後の発育を予測する上で重要な指標の一つとなります。
ステップ4:分割胚が胚盤胞まで到達する確率
順調に分割を開始した胚(分割胚)が、培養5~6日目の胚盤胞まで到達する確率は、約30~50%とされています。
ここが、採卵から胚盤胞までの過程で最も数が減少しやすい段階です。
例えば、6個の分割胚を培養した場合、最終的に胚盤胞になるのは2~3個程度という計算になります。
この胚盤胞到達率は、卵子や精子の質に大きく影響され、特に女性の年齢が上がるにつれて低下する傾向が見られます。
そのため、治療において非常に重要な指標とされています。
【年齢別】胚盤胞になる確率の目安(30代・40代)
胚盤胞まで育つ確率は、女性の年齢に大きく影響されます。
卵子の質の低下が主な要因であり、20代や30代前半と、35歳を過ぎた30代後半や39歳、そして40歳以降とでは、胚盤胞到達率に明確な差が見られます。
年齢が上がるにつれて染色体異常を持つ卵子の割合が増加し、それが原因で胚の発育が途中で停止しやすくなるためです。
ここでは、具体的な年齢層別に胚盤胞になる確率の目安を解説し、年齢が治療成績にどう関わるかを見ていきます。
34歳までの胚盤胞到達率
34歳までの場合、受精卵が胚盤胞まで到達する確率は比較的高く、一般的に50%前後とされています。
この年代は、卵子の染色体異常の割合が比較的低く、質の良い卵子が得られやすいため、胚の発育も順調に進む可能性が高いです。
例えば、6個の受精卵を培養した場合、約3個が胚盤胞になることが期待できます。
もちろん、個人差はありますが、若い年齢層は体外受精において有利な条件が揃っていると言えます。
そのため、良好な結果が得られやすい時期と考えられています。
35歳~39歳の胚盤胞到達率
35歳を過ぎると、胚盤胞到達率は徐々に低下し始め、35歳から39歳では約40%前後が目安となります。
35歳は、一般的に卵子の質の低下が顕著になり始める時期とされており、染色体異常を持つ卵子の割合が増加します。
その結果、受精しても分割の途中で成長が止まってしまう胚が増え、胚盤胞まで到達できる割合が下がります。
特に30代後半になると、その傾向はより強まるため、採卵数に対して得られる胚盤胞の数が想定より少なくなる可能性を考慮する必要があります。
40歳以降の胚盤胞到達率
40歳以降になると、胚盤胞到達率はさらに低下し、約20~30%程度になるのが一般的です。
40代では卵子の質の低下がさらに進み、染色体異常の割合も高くなるため、多くの受精卵が胚盤胞になる前に発育を停止してしまいます。
そのため、ある程度の採卵数が確保できたとしても、最終的に移植可能な胚盤胞が1つも得られない「全滅」のリスクも高まります。
この年代では、1つでも多くの質の良い卵子を採卵すること、そして得られた胚を大切に育てることが非常に重要になります。
採卵数でシミュレーション!最終的に胚盤胞は何個残る?
これまでの各ステップの生存率と年齢別の胚盤胞到達率を踏まえ、実際の採卵個数から最終的に何個の胚盤胞が残るかをシミュレーションしてみましょう。
例えば、5個採卵できた場合や、8個、9個採卵できた場合など、具体的な個数で計算することで、治療の見通しを立てやすくなります。
ここでは、採卵数が4個、6個、7個といった様々なケースを想定し、平均的な確率を基にシミュレーション結果を示します。
ただし、これはあくまで目安であり、個々の結果は異なることをご理解ください。
採卵数が3個だった場合に残る胚盤胞の数
採卵数が3個だった場合、最終的に胚盤胞が残る数は0~1個と予測されます。
まず、3個の卵子のうち成熟卵は約80%で2.4個、そのうち受精するのが約80%で1.9個、分割するのが約95%で1.8個となります。
ここから胚盤胞になる確率を年齢別に適用すると、34歳まで(約50%)で0.9個、35~39歳(約40%)で0.7個、40歳以降(約30%)で0.5個という計算になります。
確率的には1個残るかどうかという厳しいシミュレーションとなり、結果が0個になる可能性も十分に考えられます。
採卵数が5個だった場合に残る胚盤胞の数
採卵数が5個だった場合、最終的に残る胚盤胞の数は1~2個程度が目安です。
計算の内訳は、成熟卵が約4個、受精卵が約3.2個、分割胚が約3個となります。
この3個の分割胚から胚盤胞になる数を年齢別に見ると、34歳まで(約50%)で1.5個、35~39歳(約40%)で1.2個、40歳以降(約30%)で0.9個と予測されます。
どの年代でも1個以上の胚盤胞が期待できますが、特に40歳以降では確率が1.0を下回るため、結果的に0個になる可能性も視野に入れておく必要があります。
採卵数が10個だった場合に残る胚盤胞の数
採卵数が10個だった場合、年齢にもよりますが2~4個の胚盤胞が期待できます。
シミュレーションを行うと、10個の卵子から成熟卵が約8個、受精卵が約6.4個、分割胚が約6.1個となります。
この分割胚が胚盤胞まで到達する数は、34歳までで約3個、35~39歳で約2.4個、40歳以降で約1.8個となります。
30代であれば複数個の胚盤胞を確保できる可能性が高まりますが、40代になると2個に満たない計算となり、思うように数が残らない可能性も考えられます。
採卵数が15個以上だった場合に残る胚盤胞の数
採卵数が15個と多く確保できた場合、最終的に残る胚盤胞の数も増え、3~6個程度が期待できます。
計算上は、成熟卵が約12個、受精卵が約9.6個、分割胚が約9.1個となります。
この9.1個の分割胚から胚盤胞になる数は、34歳まで(約50%)で約4.6個、35~39歳(約40%)で約3.6個、40歳以降(約30%)で約2.7個と予測されます。
40歳以降でも複数個の胚盤胞が得られる可能性が高まり、移植の選択肢が広がります。
多くの卵子が採れることは、それだけ胚盤胞を得るチャンスが増えることにつながります。
胚盤胞まで育たない場合に考えられる3つの原因
多くの受精卵が胚盤胞になる前に発育を停止してしまう「胚発育停止(growtharrest)」。
その原因は一つではなく、複数の要因が複雑に関係していると考えられています。
主な原因としては、卵子の質の低下、精子の質の問題、そして夫婦双方の染色体異常の3つが挙げられます。
これらの要因は、胚の生命力を左右し、細胞分裂を続けるためのエネルギーが不足したり、遺伝情報に問題が生じたりすることで、胚盤胞への成長を妨げます。
原因を理解することは、今後の治療方針を考える上で重要です。
原因①:卵子の質の低下
胚盤胞まで育たない最も大きな原因は、卵子の質の低下です。
特に加齢は卵子の質に大きく影響し、細胞のエネルギー源であるミトコンドリアの機能低下や、染色体異常の発生率の増加を引き起こします。
受精後の胚の発育は、初期段階では卵子の力に大きく依存しています。
そのため、卵子の質が低いと、細胞分裂を正常に続けるためのエネルギーが不足したり、染色体異常によってプログラムされた細胞死(アポトーシス)が起きたりして、発育が途中で停止してしまいます。
原因②:精子の質の問題
胚の発育には、卵子だけでなく精子の質も重要です。
受精後3日目以降の胚の発育には、精子由来の遺伝子が大きく関わってきます。
精子のDNAに損傷があると、受精はしても、その後の細胞分裂が正常に進まなくなることがあります。
特に、胚盤胞になる直前の段階で発育が停止する場合、精子側の要因が影響している可能性が考えられます。
精子の質は、生活習慣やストレス、喫煙、精索静脈瘤など様々な要因によって低下することが知られています。
原因③:夫婦双方の染色体異常
胚盤胞まで育たない原因として、夫婦どちらか、あるいは双方に染色体構造の異常がある場合も考えられます。
この場合、本人には症状がなくても、作られる卵子や精子の染色体に過不足が生じやすくなります。
その結果、できた受精卵の染色体に異常が生じ、発育が途中で停止する原因となります。
反復して胚盤胞への到達率が著しく低い場合や、流産を繰り返す場合には、夫婦の染色体検査を検討することがあります。
胚盤胞になる確率を少しでも高めるためにできること
胚盤胞になる確率は年齢などの変えられない要因に大きく左右されますが、日々の生活習慣や治療法の選択によって、少しでもその確率を高めるための努力ができます。
質の良い卵子や精子を育むための体づくり、自身の体に合った排卵誘発法の選択、そして高度な培養技術を持つクリニック選びは、胚盤胞獲得への重要な鍵となります。
ここでは、ご自身で取り組めることから、医師と相談して進めることまで、具体的な方法を3つの観点から紹介します。
質の良い卵子を育むための生活習慣の見直し
卵子の質は、一朝一夕に改善するものではなく、日々の生活習慣の積み重ねが重要です。
バランスの取れた食事、適度な運動、十分な睡眠は、体の抗酸化力を高め、卵子の老化を防ぐことにつながります。
特に、体を温めて血流を良くすることは、卵巣に十分な栄養を届けるために効果的です。
また、過度なストレスや喫煙、過剰なアルコール摂取は、卵子の質の低下を招くため避けるべきです。
サプリメントの活用も選択肢の一つですが、まずは基本的な生活習慣を整えることが大切です。
医師と相談して排卵誘発法を検討する
胚盤胞になる確率を高めるためには、質の良い卵子を一つでも多く採卵することが重要です。
そのために、自分に合った排卵誘発法を医師と相談して選択することが求められます。
卵巣への刺激方法は、高刺激、中刺激、低刺激、自然周期など様々あり、年齢や卵巣機能の指標によって最適な方法は異なります。
例えば、採卵数は多くても胚盤胞到達率が低い場合、刺激法を変更することで卵子の質が改善し、結果が変わることがあります。
前回の結果を踏まえ、次回の治療方針をじっくりと検討しましょう。
培養環境が整ったクリニックを選ぶ
受精卵を胚盤胞まで育てる培養技術は、クリニックの成績を左右する非常に重要な要素です。
培養環境が胚の成長に与える影響は大きく、最新の培養器(タイムラプスインキュベーターなど)の導入や、経験豊富な培養士の在籍は、胚盤胞到達率の向上に直結します。
タイムラプスインキュベーターは、胚を培養器から取り出すことなく継続的に観察できるため、胚へのストレスを最小限に抑えながら発育を見守ることが可能です。
クリニックを選ぶ際には、こうした培養環境や実績についても確認することが推奨されます。
採卵数と胚盤胞に関するよくある質問
採卵数や胚盤胞への到達率については、多くの方が様々な疑問や不安を抱えています。
ここでは、治療を進める上で特に多く寄せられる質問について、Q&A形式で解説します。
「採卵数が少なくても胚盤胞培養に挑戦すべきか」「胚盤胞まで育てば妊娠率はどのくらい上がるのか」といった、具体的な疑問にお答えすることで、治療に対する理解を深め、不安を少しでも和らげることを目指します。
Q1. 採卵数が少なくても胚盤胞培養に挑戦する価値はありますか?
はい、価値はあります。
採卵数が1〜2個と少ない場合でも、その卵子が胚盤胞まで育てば、着床率の高い移植が期待できます。
胚盤胞培養は、着床の可能性が高い胚を選別するプロセスでもあります。
初期胚で移植して着床しなかった胚が、そもそも胚盤胞になる力がなかった可能性を事前にスクリーニングできるため、結果的に不要な移植を避けることにもつながります。
医師と相談の上、挑戦を検討する価値は十分にあります。
Q2. 胚盤胞まで育てば、妊娠率はどのくらい上がりますか?
胚盤胞移植は、初期胚移植に比べて妊娠率が高くなります。
これは、胚盤胞まで到達した胚は生命力が高く、着床に適した状態にあると考えられるためです。
また、子宮内膜の着床環境が整う時期と移植のタイミングが合いやすいという利点もあります。
クリニックの成績にもよりますが、一般的に初期胚移植の妊娠率が20~25%程度であるのに対し、胚盤胞移植では35~50%程度まで上がるとされています。
Q3. 次の採卵に向けて、胚盤胞到達率を改善するために何をすれば良いですか?
まずは、質の良い卵子と精子を育むための生活習慣の見直し(バランスの取れた食事、適度な運動、十分な睡眠、禁煙など)が基本です。
その上で、前回の治療結果を基に、医師と排卵誘発法や採卵のタイミングなどについて再検討することが重要になります。
また、必要に応じて精子のDNA断片化テストを受けたり、抗酸化作用のあるサプリメントを試したりすることも選択肢の一つとして考えられます。
まとめ
採卵数から胚盤胞になる確率は、採卵、受精、分割、胚盤胞到達といった各段階を経て卵が減少していくため、最終的に得られる個数は採卵数よりも大幅に少なくなります。
特に受精卵から胚盤胞になる確率は、医療機関やデータによって約35~65%と幅があり、女性の年齢に大きく左右されます。34歳以下では約50~65%程度と高いですが、35~39歳では約40~50%程度に低下します。また、40歳以降では約30~40%まで低下することが示されており、特に40歳以上の卵子の染色体異常の割合が70%以上と高いことが報告されています。
この確率低下の主な原因は、加齢による卵子の質の低下です。胚盤胞になる確率を高めるためには、生活習慣の見直しや、医師との相談による治療法の最適化、培養環境の整った施設選びが重要となります。













