公開日:2026.01.03 更新日:2026.01.03

不妊治療で用いられるクロミッドについて、特に服用を開始したばかりの1周期目の妊娠率に関心を持つ方は少なくありません。
最初の周期でどの程度の効果が期待できるのか、また「1周期目が一番妊娠しやすい」という話は本当なのか、具体的な数値や理由を知りたいという声が多く聞かれます。
この記事では、クロミッド1周期目の妊娠率やその根拠、排卵を誘発する仕組み、さらには副作用や今後の治療の選択肢まで、網羅的に解説します。
クロミッド1周期目(一周目)の妊娠率は約12〜20%
クロミッドを服用した1周期目あたりの妊娠率は、一般的に約12〜20%と報告されています。
この数値は、排卵障害のある方がクロミッドを服用し、排卵が正常に起きた周期にタイミング法や人工授精を行った場合のものです。
実際にクロミッドを服用して妊娠した人の多くは、治療開始から数周期以内に結果が出ています。
ただし、この確率は個人の年齢や不妊の原因によって変動するため、あくまで一つの目安として捉えることが重要です。
治療が合っている場合は早い段階で効果が見られる一方で、数周期続けても結果が出ない場合は、他の原因や治療法を検討する必要が出てきます。
クロミッドで1周期目の妊娠率が最も高くなる理由
クロミッドによる治療では、1周期目の妊娠率が統計的に最も高くなる傾向があります。
これは、クロミッドが排卵障害の原因に対して効果的に作用する人の場合、治療を開始して早い段階で妊娠に至るためです。
つまり、治療に良く反応する人たちが最初の数周期で妊娠して治療を終えるため、周期が進むにつれて妊娠する人の割合が相対的に減少し、見かけ上の妊娠率が下がっていきます。
もし3〜4周期試しても妊娠に至らない場合は、排卵障害以外にも着床や受精など他の不妊原因が隠れている可能性が考えられ、医師は別の治療法へのステップアップを検討し始めます。
そもそもクロミッドとは?排卵を誘発する仕組み
クロミッド(一般名:クロミフェンクエン酸塩)は、排卵障害を持つ女性の不妊治療において、第一選択薬として広く用いられる経口の排卵誘発剤です。
特に、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)や、ホルモン分泌の異常によって排卵がスムーズに行われないケースで効果を発揮します。
比較的副作用が少なく、安価であるため、多くの不妊治療の初期段階で導入される薬です。
その主な役割は、脳に働きかけて卵胞の成長を促すホルモンの分泌を増やし、自発的な排卵をサポートすることにあります。
脳に働きかけてFSH・LHの分泌を促す効果
クロミッドは、脳の視床下部にあるエストロゲン(卵胞ホルモン)の受け皿(受容体)に結合します。
これにより、脳は「体内のエストロゲンが不足している」と錯覚します。
この誤った情報を受け取った脳は、エストロゲンの分泌を増やすよう指令を出し、下垂体からFSH(卵胞刺激ホルモン)とLH(黄体形成ホルモン)の分泌を促進させます。
FSHは卵巣内の卵胞を大きく成熟させる働きがあり、LHは成熟した卵胞からの排卵を直接的に引き起こす役割を担います。
このように、クロミッドは間接的にホルモン分泌をコントロールすることで、排卵を誘発する仕組みです。
クロミッドの一般的な服用方法と治療スケジュール
クロミッドを用いた治療は、月経周期に合わせて計画的に進められます。
通常、生理が始まってから数日以内に服用を開始し、一定期間続けた後、超音波検査などで卵胞の発育状況を確認しながら排卵日を予測します。
医師の指示通りに正しく服用し、指定された時期に診察を受けることが、治療効果を高める上で非常に重要です。
この基本的な流れに沿って、タイミング法や人工授精などが行われます。
生理開始3〜5日目から5日間服用するのが基本
クロミッドの服用は、一般的に生理が始まった日から数えて3日目から5日目のいずれかの日に開始します。
そこから1日1錠(50mg)を5日間連続で服用するのが基本的な用法です。
ただし、効果が見られない場合や患者の状態に応じて、医師の判断で1日の服用量を2錠(100mg)に増やすこともあります。
服用を開始する日や量については、必ず医師の指示に従ってください。
自己判断で量を変えたり、服用を中止したりすると、期待される効果が得られないだけでなく、副作用のリスクを高める可能性があります。
服用後の排卵時期の目安とタイミング法
クロミッドの服用を終えた後、通常5日から10日後くらいに排卵が起こると予測されます。
そのため、医師は服用終了後の適切な時期に超音波検査を行い、卵胞の大きさ(通常18〜20mm程度で排卵)や子宮内膜の厚さをチェックします。
この検査結果をもとに、最も妊娠しやすい排卵日を予測し、性交渉のタイミングを指導します(タイミング法)。
また、排卵のタイミングに合わせて人工授精(AIH)を行うこともあります。
正確な排卵日を特定するために、複数回の通院が必要になることが一般的です。
クロミッド服用前に知っておきたい副作用とリスク
クロミッドは比較的安全性の高い薬とされていますが、いくつかの副作用やリスクも報告されています。
主なものとして、複数の卵胞が同時に育つことによる多胎妊娠の確率上昇や、薬の作用による子宮環境への影響が挙げられます。
これらのリスクを正しく理解し、治療中に体調の変化を感じた場合は速やかに医師に相談することが大切です。
事前に副作用について知っておくことで、安心して治療に臨むことができます。
多胎妊娠(双子など)の確率が上がる
クロミッドは卵胞を育てるホルモン(FSH)の分泌を促すため、一度に複数の卵胞が成熟し、排卵することがあります。
その結果、複数の卵子が受精し、双子や三つ子といった多胎妊娠になる確率が自然妊娠に比べて高まります。
クロミッド服用による多胎妊娠の頻度は約4〜5%とされており、そのほとんどが双子です。
多胎妊娠は母体や胎児への負担が大きく、早産や低出生体重児などのリスクも上昇するため、治療開始前に医師から十分な説明を受ける必要があります。
子宮内膜が薄くなり着床しにくくなる可能性
クロミッドには、エストロゲンの働きを抑制する抗エストロゲン作用があります。
エストロゲンは、受精卵が着床するために必要な子宮内膜を厚くする働きを担っています。
そのため、クロミッドを長期間服用し続けると、この作用によって子宮内膜が薄くなってしまうことがあります。
子宮内膜が薄い(一般的に8mm未満)と、受精卵がうまく着床できず、妊娠に至りにくくなる可能性があります。
この副作用を避けるため、クロミッドの使用は通常3〜6周期を目安とし、内膜の状態を定期的に確認しながら治療を進めます。
子宮頸管粘液が減少し精子が子宮へ進みにくくなることも
子宮内膜と同様に、子宮頸管から分泌される粘液もエストロゲンの影響を受けます。
この頸管粘液は排卵期に量を増やし、精子が子宮内へスムーズに進むのを助ける役割を果たしています。
しかし、クロミッドの抗エストロゲン作用によって頸管粘液の分泌量が減少したり、粘り気が強くなったりすることがあります。
その結果、精子の運動が妨げられ、受精の機会が減少してしまう可能性があります。
この副作用が疑われる場合は、人工授精など、精子を直接子宮内に送り届ける治療法が検討されることもあります。
その他の副作用(頭痛、吐き気、視覚症状など)
クロミッドの服用により、ホルモンバランスが変化することで、頭痛、吐き気、めまい、顔のほてりなどの症状が現れることがあります。
また、卵巣が過剰に刺激されることによってお腹が張ったり、痛んだりする卵巣過剰刺激症候群(OHSS)を引き起こす可能性も稀にあります。
特に注意が必要なのは、「目がかすむ」「光がチカチカ見える」といった視覚症状です。
これらの症状は頻度こそ低いものの、出現した場合はすぐに服用を中止し、担当の医師に連絡する必要があります。
気になる症状があれば、自己判断せずに必ず相談してください。
クロミッドを数周期試しても妊娠しない場合の選択肢
クロミッドを3〜6周期ほど試しても妊娠に至らない場合、排卵障害以外に不妊の原因がある可能性や、クロミッドへの反応が良くないことが考えられます。しかし、治療の選択肢がなくなるわけではありません。
医師と相談の上で、より効果が期待できる別の治療法へステップアップすることを検討します。副作用が強く出る場合も同様に、薬剤の変更や治療方針の見直しが行われます。次のステップへ進むことで、妊娠の可能性を高めることができます。
他の排卵誘発剤への変更を検討する
クロミッドで効果が見られない、あるいは子宮内膜が薄くなるなどの副作用が問題となる場合、他の排卵誘発剤への変更が選択肢となります。
代表的な代替薬には、レトロゾール(商品名:フェマーラ)があります。
レトロゾールはクロミッドとは異なる作用機序で排卵を誘発し、子宮内膜を薄くする副作用が少ないとされています。
また、より強力に排卵を誘発する方法として、hMG(ヒト閉経後ゴナドトロピン)製剤などの注射薬を用いることもあります。
どの薬剤が適しているかは、個々の状態に合わせて医師が判断します。
人工授精や体外受精へのステップアップを視野に入れる
クロミッドによって排卵はするものの妊娠に至らない場合、精子が卵子までたどり着く過程(受精)や、受精卵が子宮内膜に着床する過程に問題がある可能性が考えられます。
その場合、人工授精(AIH)や体外受精(IVF)といった、より高度な生殖補助医療(ART)へのステップアップが検討されます。
人工授精は、排卵のタイミングに合わせて調整した精子を直接子宮内に注入する方法です。
体外受精は、採卵した卵子と精子を体外で受精させ、育った受精卵を子宮に戻す治療法で、より高い妊娠率が期待できます。
クロミッド服用に関するよくある質問
クロミッドによる治療を始めるにあたり、多くの方がさまざまな疑問や不安を抱えています。
ここでは、特に多く寄せられる質問について、簡潔に解説します。
飲み忘れへの対処法や、治療を続ける期間の目安、体重への影響など、具体的な疑問を解消することで、より安心して治療に取り組むための一助としてください。
ただし、個別の状況については、必ず主治医に確認することが最も重要です。
Q1. クロミッドを飲み忘れた場合はどうすればよいですか?
飲み忘れに気づいた時点ですぐに1回分を服用してください。
ただし、次の服用時間が近い場合は忘れた分は飲まず、次の服用時間から再開し、決して2回分を一度に服用しないようにしましょう。
対応に迷った場合は、自己判断せず、必ず処方された医療機関の医師や薬剤師に電話で指示を仰ぐのが最も安全です。
Q2. クロミッドは何周期まで続けるのが一般的ですか?
一般的に3〜6周期が目安とされています。
クロミッドによる妊娠の多くはこの期間内に成立するためです。
6周期以上続けても妊娠率が大幅に上がることはなく、むしろ子宮内膜が薄くなるなどの副作用のリスクが高まるため、他の治療法へのステップアップを検討することが推奨されます。
Q3. クロミッドを服用すると太るというのは本当ですか?
クロミッドの副作用として「体重増加」が明確に報告されているわけではありません。
しかし、薬の影響によるホルモンバランスの変化で、むくみや食欲増進が起こり、結果的に体重が増加したと感じる方もいるようです。
大幅な体重増加が見られる場合は、他の原因も考えられるため医師に相談しましょう。
まとめ
クロミッドを服用した1周期目(一周目)の妊娠率は約12〜20%であり、治療が有効な人は早い段階で結果が出やすいため、統計的に最初の周期の妊娠率が最も高くなる傾向にあります。
この薬は脳に働きかけてホルモン分泌を促し排卵を誘発する仕組みですが、多胎妊娠の確率上昇や、子宮内膜が薄くなるなどの副作用も存在します。
通常、治療は3〜6周期を目安に行われ、結果が出ない場合はレトロゾールなど他の薬剤への変更や、人工授精・体外受精へのステップアップが検討されます。
治療を進める上では、医師と十分にコミュニケーションを取り、自身の状態を正しく理解することが重要です。













