公開日:2026.02.18 更新日:2026.02.18

起立性調節障害とは、自律神経系の異常により、立ち上がった時に血圧が低下し、めまいや頭痛、倦怠感などの症状が現れる病気です。
この症状は「怠け」と誤解されやすく、本人も家族も出口の見えない不安を抱えがちです。
この記事では、実際に症状が改善した方々の体験談を基に、回復のきっかけやその予兆、そして回復を後押しするために家族ができるサポートについて解説します。
起立性調節障害が回復へ向かった5つのきっかけ【体験談より】
起立性調節障害からの回復の道のりは一人ひとり異なりますが、症状が改善した人たちの体験談には共通するいくつかの転機が見られます。
必ずしも医療的なアプローチだけでなく、生活環境の変化や周囲の心のサポートが大きなきっかけとなるケースも少なくありません。
ここでは、克服した人たちの声から見えてきた代表的な5つのきっかけを紹介し、どのような出来事や心境の変化が回復へとつながったのかを具体的に探ります。
きっかけ1:環境調整|通信制高校への転校でプレッシャーから解放された
全日制の学校が定める時間割や集団生活は、起立性調節障害の子どもにとって大きな心身の負担となります。
特に朝早く登校しなければならないプレッシャーは、症状を悪化させる一因になりがちです。
実際に、通信制高校やフリースクールへ転校し、自分のペースで学習できる環境に身を置いたことで、症状が劇的に改善したという体験談は少なくありません。
時間的な制約や対人関係のストレスから解放され、心に余裕が生まれることが、自律神経のバランスを整える上で重要な役割を果たします。
環境調整は、治療において逃げではなく、回復への戦略的な一歩となり得ます。
きっかけ2:生活習慣の見直し|無理のない範囲での活動が自信につながった
体調が良い時間帯を見つけて、散歩や趣味など、ごく短い時間でも好きなことに取り組む習慣をつけることが、回復の足がかりになることがあります。
重要なのは、活動を強制せず、本人が「これならできそう」と感じる範囲から始めることです。
最初は5分の散歩でも、継続することで体力がつき、何よりも「自分にもできることがある」という自己肯定感を取り戻すきっかけになります。
こうした小さな成功体験の積み重ねが、次第に活動範囲を広げる意欲へとつながり、生活リズムの改善に結びついていきます。
焦らず、本人のペースを尊重したアプローチが回復を促します。
きっかけ3:身体の成長|成長期を越えて症状が自然に軽快した
起立性調節障害は、身体が急激に成長する思春期に、自律神経系の発達が追いつかないことで発症しやすいとされています。
そのため、高校生になるなど、身体の成長がある程度落ち着く時期を迎えると、症状が自然に軽快するケースが多く見られます。
骨格や循環器系の発達が安定し、自律神経のバランスが整ってくることで、起立時の血圧低下が起こりにくくなります。
もちろん個人差はありますが、時間が経過し、身体が成熟することが一つの解決策になる可能性も十分に考えられます。
成長を待つ間、心身の負担を減らす環境を整えることが重要です。
きっかけ4:周囲の理解|親が「休んでいい」と認めてくれたことで安心できた
起立性調節障害の子どもは、症状のつらさに加え、「学校に行けない自分はダメだ」という罪悪感に苛まれています。
そんな時、最も身近な存在である親が「怠けているわけじゃない。今は休んでいいんだよ」と心から理解し、受け入れる姿勢を示すことが、回復への大きな転機となります。
この一言で、子どもは自分を責める気持ちから解放され、精神的なプレッシャーが大幅に軽減されます。
家庭が心から安心できる場所だと感じられることで、自己肯定感が回復し、症状と向き合うエネルギーが湧いてきます。
親の無条件の受容が、何よりの薬になることもあります。
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きっかけ5:適切な治療|専門医と出会い、本人に合った治療法が見つかった
症状が長引く場合、自己判断で対処するだけでなく、起立性調節障害に詳しい専門医の診断を受けることが重要です。
専門医は、症状の種類や重症度を正確に診断し、薬物療法や生活指導、光療法など、一人ひとりの状態に合わせた治療法を提案してくれます。
特に、どの治療法が合うかは個人差が大きいため、医師と相談しながら試行錯誤するプロセスが不可欠です。
信頼できる医師と出会い、自分に合った治療法が見つかったことで、トンネルの出口が見え、着実に回復へと向かったという声は多く聞かれます。
諦めずに専門家へ相談することが、改善への近道となります。
回復のサインかも?改善前に見られる3つの予兆
長く続く症状に不安を感じる中で、回復の兆しが見えると、本人も家族も少しだけ気持ちが楽になります。
起立性調節障害の症状は一進一退を繰り返しながら、徐々に改善していくことが多く、その過程ではいくつかのポジティブな変化が見られます。
これらの「予兆」は、これまでのサポートや治療が実を結び始めている証拠かもしれません。
ここでは、回復期によく見られる3つのサインを紹介します。
これらの変化に気づくことが、今後のサポートを考える上でのヒントになります。
予兆1:午後の活動時間が増え、笑顔が見られるようになった
起立性調節障害の症状は午前中に強く現れ、午後になると比較的体調が安定する傾向があります。
回復期に入ると、この午後の元気な時間帯が少しずつ長くなってくるのが一つのサインです。
以前は夕方まで寝込んでいたのが、昼過ぎから起き上がれるようになったり、自室で過ごすだけでなくリビングに出てくる時間が増えたりします。
さらに、会話の中で自然な笑顔が見られるようになったり、テレビを見て笑ったりする場面が増えるのも、心身のエネルギーが回復してきている証拠です。
こうした些細な変化を見逃さず、本人の負担にならない程度に喜びを分かち合うことが大切です。
予兆2:「〜してみたい」と本人の口から意欲的な言葉が出始めた
症状が重い時期は、何事に対しても無気力になりがちですが、回復に向かうにつれて、内面的なエネルギーが少しずつ戻ってきます。
その兆候として、「〇〇を食べてみたい」「この映画が見たい」「友達と連絡を取ってみようかな」といった、自発的な意欲を示す言葉が聞かれるようになります。
これは、心と身体が外界に関心を向ける余裕を取り戻し始めたサインです。
こうした言葉が出てきたときは、決して急かしたり、過度な期待をかけたりせず、本人の意欲を尊重し、実現可能な範囲でサポートする姿勢が重要です。
本人の「やりたい」という気持ちが、次のステップへ進む原動力となります。
予兆3:趣味など好きなことに対して集中できる時間が増えた
体調が悪いときは、脳への血流も不足しがちで、思考力や集中力を維持することが難しくなります。
そのため、以前は好きだったゲームや読書、音楽鑑賞などにも全く手がつかなくなることも珍しくありません。
しかし、回復期に入ると、こうした趣味に再び没頭できる時間が増えてきます。
最初は10分程度だったのが30分、1時間と、集中していられる時間が徐々に延びていくのは、体調が安定し、精神的な余裕が生まれてきた証拠です。
好きなことに集中する時間は、つらい症状を忘れる貴重なひとときであり、心理的なリフレッシュにもつながり、さらなる回復を後押しします。
回復のきっかけを作るために親ができる接し方とサポート
起立性調節障害からの回復には、医療機関での治療と並行して、家庭での親のサポートが極めて重要な役割を果たします。
子どもの症状は、本人の意思とは無関係に現れるものであり、「怠け」や「甘え」といった周囲の誤解が、本人をさらに苦しめることになります。
親が病気について正しく理解し、子どもの一番の味方でいることが、回復への大きな力となります。
ここでは、回復のきっかけを作るために親ができる具体的な接し方とサポートの方法を紹介します。
子どものつらさに寄り添い「怠けではない」と理解を示す
起立性調節障害の症状は目に見えにくいため、周囲から「怠けている」と誤解されがちです。
親がまずこの病気を正しく理解し、「あなたのせいではない」というメッセージを明確に伝えることが不可欠です。
朝起きられないことや日中の倦怠感は、自律神経の不調という身体的な問題が原因であり、本人の気力や努力で解決できるものではないと認識することが第一歩です。
親の理解ある態度は、子どもの自己肯定感の低下を防ぎ、心理的な孤立感を和らげる効果があります。
この安心感が、治療に取り組む前向きな姿勢や、病気と向き合う力に良い影響を与えます。
「早く起きなさい」という言葉をやめ、朝のプレッシャーを取り除く
起立性調節障害の子どもにとって、朝起きられないのは最もつらい症状の一つです。
この状態で「早く起きなさい」と叱責されることは、症状を悪化させる強いストレスとなります。
寝起きの体は血圧が極端に低く、無理に起き上がろうとすると激しいめまいや吐き気に襲われます。
まずは、朝焦らせるような声かけをやめ、本人が自分のペースで起き上がるのを待つ姿勢が重要です。
カーテンを開けて太陽の光を入れる、静かに声をかけるなど、穏やかな覚醒を促す工夫を試みるのがよいでしょう。
朝のプレッシャーを取り除くことが、一日の体調を安定させることにつながります。
学校を休むことを認め、家庭を安心できる場所に整える
「学校に行かなければならない」というプレッシャーは、起立性調節障害の子どもにとって大きな負担です。
体調が悪くて登校できない日には、親が「今日は休んで大丈夫」と認めてあげることで、子どもは罪悪感から解放されます。
学校を休むことは、治療の一環として必要な休息期間だと捉え、家庭を心から安らげる「安全基地」にすることが大切です。
無理に登校を促すのではなく、まずはエネルギーを充電する期間として割り切る決断も時には必要です。
心身ともに安心して過ごせる環境が確保されて初めて、子どもは回復に向けてエネルギーを蓄えることができます。
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日中の過ごし方を一緒に考え、自己肯定感を育む手伝いをする
学校を休んでいると、子どもは社会から取り残されたような孤独感や無力感を抱きやすくなります。
体調が良い時間帯に、無理のない範囲でできることを見つける手伝いをすることで、子どもの自己肯定感を支えることができます。
例えば、短い時間でできる勉強や読書、好きなアニメを見る、簡単な家事を手伝うなど、どんな些細なことでも構いません。
本人が「今日はこれができた」と実感できる経験を積み重ねることが重要です。
親が一緒に活動計画を考え、達成できたことを認めてあげることで、子どもは徐々に自信を取り戻し、次への意欲を持つきっかけをつかめます。
家庭でのケアと並行して検討したい専門的な治療法
家庭での温かいサポートは子どもの精神的な安定に不可欠ですが、症状の改善をより確実にするためには、専門的な治療を並行して進めることが効果的です。
起立性調節障害の治療は、小児科や心療内科、専門クリニックなどで受けることができます。
治療法には、身体的な症状を直接和らげるものから、生活リズムを整えるもの、心理的な負担を軽減するものまで様々です。
ここでは、代表的な専門的治療法について、それぞれの特徴と目的を解説します。
身体症状を和らげるための薬物療法
薬物療法は、起立性調節障害に伴う具体的な身体症状を緩和するために行われます。
主に、立ち上がった際の血圧低下を防ぐために血圧を上昇させる薬や、自律神経のバランスを整える薬が処方されます。
これにより、めまい、立ちくらみ、頭痛、倦怠感といった日常生活に支障をきたす症状の軽減が期待できます。
また、吐き気や腹痛、耳鳴りなど、個別の症状に応じて対症療法的な薬が用いられることもあります。
薬物療法は医師の診断のもとで慎重に進められ、非薬物療法と組み合わせることで、より高い効果を発揮することが多いです。
体内リズムを整える光療法
起立性調節障害の患者の多くは、体内時計のリズムが乱れており、夜なかなか寝付けず、朝起きられないという問題を抱えています。
光療法は、この乱れた概日リズムを正常に戻すことを目的とした治療法です。
毎朝、起床後に太陽光に近い高照度の光を一定時間浴びることで、脳内の覚醒を促すホルモンの分泌を刺激し、体内時計をリセットします。
これにより、夜の寝つきが良くなり、朝の目覚めが改善される効果が期待されます。
医療機関で専用の機器を用いて行うほか、家庭用の治療器を使用することもあり、副作用が少なく安全性の高い治療法として注目されています。
心理的な負担を軽くするカウンセリング
症状が長引くと、「なぜ自分だけが」という孤立感や、将来への不安、学業の遅れへの焦りなど、強い心理的ストレスを抱えるようになります。
カウンセリングでは、臨床心理士などの専門家との対話を通じて、こうした不安や悩みを整理し、心の負担を軽くしていくことを目指します。
子ども本人が自分の気持ちを安全な環境で表現できるだけでなく、病気との向き合い方やストレスへの対処法を学ぶことができます。
また、保護者がカウンセリングを受けることで、子どもへの適切な接し方について助言を得たり、保護者自身の不安を軽減したりすることも可能です。
起立性調節障害に関するよくある質問
起立性調節障害について、保護者の方々から多く寄せられる質問があります。
いつ治るのかという見通しや、周囲への説明方法、症状が長引く可能性など、気になる点は様々です。
ここでは、そうした疑問の中から特に代表的なものをピックアップし、簡潔に回答します。
正しい知識を持つことが、不要な不安を減らし、適切な対応につながります。
Q1. 起立性調節障害はいつ頃、自然に治ることが多いですか?
症状は身体の成長と共に改善する傾向があり、一般的に発症から2〜3年で軽快するケースが多いです。
特に、身体が成熟する高校生の年齢になると自然に治ることが期待できます。
ただし個人差は大きく、完治まで4年以上かかる場合や、まれに成人後も症状が残ることもあります。
6歳頃の低年齢で発症した場合は、回復に時間がかかる傾向が見られます。
Q2. 周囲から「怠けている」と誤解されたとき、どう説明すればいいですか?
「本人の意思とは関係なく、自律神経の不調で起こる病気です」と伝えます。
特に「急に立ち上がると、脳への血流が不足して、めまいや頭痛が起きるため、すぐに動けない」など、具体的な身体の仕組みを説明すると理解されやすいです。
学校の先生などには、医師の診断書を提示して説明することも有効な手段となります。
Q3. 高校生や大人になっても症状が続くことはありますか?
多くは思春期を越えると改善しますが、一部は症状が成人後まで続くことや、一度良くなっても大人になってからストレスなどをきっかけに再発する場合があります。
大人になっても症状が続く場合は、不登校やひきこもりの問題につながる可能性もあるため、継続的な治療や生活習慣の管理が重要です。
まとめ
起立性調節障害からの回復のきっかけは、通信制高校への転校といった環境調整、無理のない範囲での活動による自信の回復、身体の成長、そして親をはじめとする周囲の理解など、多岐にわたります。
特に、親が病気を「怠けではない」と理解し、学校を休むことを認めて家庭を安心できる場所にすることが、子どもの心理的負担を大きく軽減します。
回復の予兆として、午後の活動時間や笑顔の増加、意欲的な言葉、趣味への集中が見られるようになります。
家庭でのケアと並行し、必要に応じて薬物療法や光療法といった専門的な治療を取り入れることも改善につながります。
回復への道筋は一人ひとり異なるため、焦らず本人のペースに合わせたサポートを続けることが求められます。
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