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橋本病でも妊娠できる?不妊への影響と治療法、TSH目標値を解説

公開日:2026.03.27 更新日:2026.03.27

橋本病でも妊娠できる?不妊への影響と治療法、TSH目標値を解説

「橋本病だと妊娠は難しいのだろうか」と不安に感じていませんか。
橋本病は甲状腺の病気であり、不妊や妊娠中のリスクに影響を与える可能性があります。
しかし、適切な治療で甲状腺ホルモンをコントロールすれば、無事に出産している方は大勢います。

この記事では医学的な観点から、橋本病と不妊の関係、具体的な治療法や妊娠を目指す上での注意点を解説します。

結論:橋本病でも適切な治療を受ければ妊娠・出産は十分に可能

結論から言うと、橋本病であっても、甲状腺ホルモン剤による適切な治療を受けて数値をコントロールすれば、妊娠・出産は十分に可能です。
橋本病が不妊の原因となるのは、主に甲状腺機能が低下し、ホルモンバランスが乱れるためです。

逆に言えば、治療によって甲状腺機能を正常に保つことで、妊娠しやすい体内の環境を整え、妊娠中や出産時のリスクを大幅に減らすことができます。
まずは専門医に相談し、適切な治療を開始することが重要です。

橋本病が不妊につながる理由|甲状腺ホルモンと妊娠の仕組み

橋本病は、自己免疫の異常によって甲状腺に慢性的な炎症が起こる病気です。
この炎症が原因で甲状腺の働きが低下すると、体に必要な甲状腺ホルモンを十分に分泌できなくなる「甲状腺機能低下症」を招くことがあります。

甲状腺ホルモンは、全身の代謝を活発にするだけでなく、女性ホルモンの働きや卵巣の機能とも密接な関係があるため、このホルモンが不足すると、妊娠の成立や維持が難しくなる場合があります。

排卵障害や黄体機能不全を引き起こしやすくなる

甲状腺ホルモンが不足すると、脳下垂体から分泌されるプロラクチンというホルモンの値が高くなることがあります。
高プロラクチン血症は、卵巣の働きを抑制し、排卵が起こりにくくなる排卵障害の直接的な原因となります。

また、排卵したとしても、妊娠の維持に不可欠な黄体ホルモンの分泌が不十分になる「黄体機能不全」を引き起こし、生理不順や無月経を招くことも少なくありません。
これらの状態は、不妊の大きな原因となります。

受精卵の着床や発育に影響を与えることがある

甲状腺ホルモンは卵胞の成長に不可欠であり、甲状腺機能が乱れると無排卵月経や無月経につながり、妊娠の可能性が低くなることが知られています。また、妊娠初期の胎児の臓器形成、特に脳の発育には、母体から供給される甲状腺ホルモンが不可欠です。この時期のホルモン不足は、着床後の発育にも影響を及ぼすことが指摘されています。

妊娠前から知っておきたい橋本病の2つのリスク

橋本病に伴う甲状腺機能低下症は、不妊の原因となるだけでなく、妊娠が成立した後も母体と胎児の両方に様々なリスクをもたらす可能性があります。
特に、甲状腺ホルモンが不足した状態のまま妊娠を継続すると、流産や早産、妊娠高血圧症候群などの合併症のリスクが高まることが知られています。

妊娠前から甲状腺の状態を把握し、適切に管理することが、安全な妊娠・出産のために非常に重要です。

母体への影響:流産・早産・妊娠高血圧症候群など

甲状腺機能が適切にコントロールされていない状態で妊娠すると、様々な合併症のリスクが高まります。
特に、妊娠初期の流産率は約2倍に、早産のリスクも高くなると報告されています。
また、妊娠中期以降には、血圧が上昇し、蛋白尿などが出る「妊娠高血圧症候群」や、胎盤が早期に剥がれてしまう「常位胎盤早期剥離」といった、母子ともに危険な状態に陥る可能性もあります。

これらのリスクを避けるためにも、妊娠全期間を通した厳密なホルモン管理が求められます。

胎児への影響:赤ちゃんの知能や神経発達に甲状腺ホルモンは不可欠

妊娠初期、特に12週頃まで、胎児は自分で甲状腺ホルモンを作り出すことができません。
そのため、胎児の成長と発達は、胎盤を通じて供給される母親の甲状腺ホルモンに完全に依存しています。
この重要な時期に母親の甲状腺ホルモンが不足していると、赤ちゃんの脳や神経系の発達に影響が及ぶ可能性が指摘されています。

具体的には、知能指数(IQ)の低下や発達の遅れとの関連が懸念されるため、胎児のためにも母親のホルモン値を正常に保つことが不可欠です。

妊娠を目指すために行う橋本病の具体的な治療法

橋本病を持つ人が妊娠を目指す場合、不妊のリスクや妊娠中の合併症を避けるために、積極的な治療が推奨されます。
妊活中の治療は、甲状腺機能を正常に保ち、妊娠に適した体内環境を整えることを目的とします。
特に、甲状腺刺激ホルモン(TSH)の値を、一般的な基準値よりも厳しい目標値にコントロールすることが重要です。

治療は主に内服薬によって行われ、定期的な血液検査で数値をモニタリングしながら進めていきます。

甲状腺ホルモン剤(チラージンS)で不足分を補うのが基本

橋本病による甲状腺機能低下症の治療は、不足している甲状腺ホルモンを薬で補う「ホルモン補充療法」が基本となります。
一般的には「チラーヂンS(一般名:レボチロキシンナトリウム)」という合成甲状腺ホルモン剤を内服します。

この薬は、もともと体内で作られる甲状腺ホルモンと同じ成分のため、副作用の心配はほとんどありません。
適切な量を毎日服用することで、血中のホルモン濃度を安定させ、妊娠に適した状態を維持します。

妊活中のTSHコントロール目標値は「2.5μIU/mL未満」

健康な人の甲状腺刺激ホルモン(TSH)の基準値は、一般的に0.5〜5.0μIU/mL程度とされています。
しかし、妊活中や妊娠を希望する場合には、より厳格な管理が推奨されており、日本甲状腺学会のガイドラインではTSH値を「2.5μIU/mL未満」にコントロールすることが目標とされています。

これは、TSHが2.5μIU/mLを超えると流産率が高まるという研究報告に基づいています。
この目標値を達成するために、治療ではチラーヂンSの服用量を細かく調整します。

その生理不順、橋本病が原因かも?甲状腺機能低下で見られる症状

月経周期が不規則だったり、経血の量が多かったりと、生理に関するトラブルを抱えている場合、その原因が橋本病に伴う甲状腺機能の低下にある可能性も考えられます。
甲状腺ホルモンは女性ホルモンの分泌や卵巣機能に深く関わっているため、そのバランスが崩れると様々な月経異常を引き起こすことがあります。
不妊だけでなく、むくみや冷え、倦怠感といった他の症状と合わせて、甲状腺の病気を疑うきっかけとなる症例も少なくありません。

月経周期の乱れや過多月経を引き起こすケース

甲状腺機能が低下すると、ホルモンバランスが乱れ、月経異常を引き起こすことがあります。
代表的な症状としては、月経周期が長くなる稀発月経や、排卵が停止してしまう無月経が挙げられます。
これらの排卵障害は不妊の直接的な原因となります。

一方で、頻繁に出血したり、一度の経血量が極端に多くなったりする過多月経が起こる場合もあります。
原因不明の月経トラブルが続く場合は、一度甲状腺機能の検査を受けてみることを検討してもよいでしょう。

自覚症状のない「潜在性甲状腺機能低下症」とは

血液検査で甲状腺ホルモン(FT4)の値は正常範囲内にもかかわらず、甲状腺刺激ホルモン(TSH)の値だけが高い状態を「潜在性甲状腺機能低下症」と呼びます。
この段階では、疲れやすさやむくみといった自覚症状がほとんどないことも珍しくありません。
しかし、症状がないからといって問題がないわけではなく、この状態でも流産のリスクが高まることがわかっています。

そのため、不妊症のスクリーニング検査で発見されることも多く、妊娠を希望する場合には治療の対象となる症例です。

橋本病と不妊に関するよくある質問

ここでは、橋本病と診断された方や、不妊治療中に甲状腺機能の異常を指摘された方からよく寄せられる質問にお答えします。
薬の服用に関する疑問や、治療開始後の見通し、パートナーへの影響など、具体的な内容を取り上げます。
橋本病と似た甲状腺の自己免疫疾患にバセドウ病がありますが、こちらは甲状腺機能が過剰になる病気で、治療法や管理方針が異なります。

Q1. 妊娠がわかった後も、薬(チラージンS)は飲み続けていいですか?

自己判断で絶対に中断せず、必ず服用を継続してください。
胎児の脳や神経が発達する妊娠初期には、母親からの甲状腺ホルモンが不可欠です。
むしろ妊娠中は甲状腺ホルモンの必要量が増加するため、薬の量を増やす場合がほとんどです。

薬をやめてしまうと、流産や早産のリスクを高めるだけでなく、胎児の発育にも悪影響を及ぼす可能性があります。
妊娠が判明したら、速やかに甲状腺の主治医に報告し、指示を仰ぎましょう。

Q2. 治療を始めたら、すぐに妊娠できますか?

治療によって甲状腺機能が正常化しても、必ずしもすぐに妊娠するとは限りません。
橋本病以外に不妊の原因(卵管や子宮、男性側の要因など)が隠れている可能性もあるためです。

まずは甲状腺ホルモン剤の服用を開始し、TSH値が目標である2.5μIU/mL未満で安定するまで数ヶ月かかることもあります。
甲状腺機能を正常に整えることは、妊娠に向けた重要な第一歩ですが、他の不妊要因についても検査や治療を並行して進める必要があります。

Q3. パートナー(男性)が橋本病の場合、不妊に影響はありますか?

男性が橋本病で甲状腺機能が低下している場合、精子の運動能低下、奇形精子症、精液量・射精量の減少を引き起こし、男性不妊の原因となる可能性があります。精子数自体は正常であることが多いとされますが、不妊との関連は薄いとは言い切れません。MSDマニュアル家庭版でも、甲状腺機能低下症が男性不妊症の原因として挙げられています。甲状腺機能低下症の症状として、全身の倦怠感や性欲の減退などが現れることがあります。女性の場合ほど深刻な影響はないとされますが、気になる症状があれば専門医に相談し、適切な治療を受けることが望ましいです。

まとめ

橋本病が原因で甲状腺機能が低下すると、排卵障害や着床障害を引き起こし、不妊につながることがあります。
また、甲状腺機能が不十分なまま妊娠すると、流産や早産、胎児の発育への影響といったリスクも高まります。
しかし、これらの問題は、チラーヂンSなどの甲状腺ホルモン剤による適切な治療でホルモン値をコントロールすることにより、その多くを回避することが可能です。

妊活中のTSH目標値は2.5μIU/mL未満とされており、この数値を維持することが安全な妊娠・出産への鍵となります。
不妊や体調に不安がある場合は、まずは専門医に相談してください。

 

この記事の監修者

成澤佳希

成澤 佳希

錦糸町はり灸院 院長

日本健康医療専門学校卒業後、株式会社ブレイシングに入社。
系列院の本八幡鍼灸院で7年勤務した後、錦糸町はり灸院に異動。
現在は勤務10年目となり、錦糸町はり灸院の院長として従事。
不妊、男性不妊、自律神経症状などの幅広く貢献している。

《資格》

はり師、きゅう師

《経歴》

日本健康医療専門学校

錦糸町はり灸院

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